授業内容例

小学校3、4年生を対象に、週1時間実施する芸術教育プロジェクトの具体的な授業内容例について、段階的に考えていきます。

小学校3、4年生を対象とした、週1時間の芸術教育プロジェクトの具体的な授業内容例。

年間テーマ「自分発見! ~私の好き!を見つけて表現しよう~ 」


年間を通しての活動目標

自己表現: 子どもたちが、絵画、彫刻、音楽、身体表現など、様々な表現方法を探求することを通して、自分自身の感情、思考、アイデアを表現する能力を高めます。

創造的な問題解決: オープンエンドな課題に取り組み、試行錯誤しながら独自の解決策を見つけ出す経験を通して、子どもたちの創造的な問題解決能力を育みます。

協調性: グループでの共同制作や発表を通して、子どもたちが互いの意見を尊重し、協力しながら目標を達成する力を育みます。

多様な視点: 様々な芸術作品に触れたり、異なるバックグラウンドを持つアーティストと交流したりすることで、子どもたちの視野を広げ、多様な視点や価値観を育みます。

自己肯定感: 自分の「好き」を見つけ、それを表現することを通して、子どもたちの自己肯定感を高め、自信を持って行動できる力を育みます。


年間テーマ「自分発見! ~私の好き!を見つけて表現しよう~ 」


導入期(4月~5月)
・ねらい

芸術や創造活動に対する興味・関心を高める。

自分の感覚を意識し、表現することの楽しさを体験する。

様々な素材や表現方法に触れる。

授業内容例

五感を研ぎ澄ますゲーム: 目隠しをして音や匂いを当てる、様々な素材に触れて感触を言葉で表現するなど、五感を意識したゲームを通して、感覚を研ぎ澄ますことを促します。

自由画: テーマを決めずに自由に絵を描いたり、粘土で形を作ったりする活動を通して、自分の中にあるイメージを自由に表現する楽しさを体験させます。

音遊び: 身の回りの物を使って音を出し、リズムや音色を楽しみながら、音楽的感性を育みます。

表現方法の紹介: 絵画、彫刻、音楽、演劇、ダンスなど、様々な芸術表現を紹介し、子どもたちの興味関心の幅を広げます。

指導上のポイント

正解を求めるのではなく、子どもたちの自由な発想や表現を尊重する。

「上手」「下手」ではなく、「面白い」「楽しい」「不思議」といった感性的な言葉で評価する。

多様な素材や道具を用意し、子どもたちが色々試してみたくなるような環境を作る。


テーマ探求期(6月~7月)

ねらい

自分の「好き」を見つける。

テーマを絞り込み、具体的なイメージを膨らませる。

アイデアを形にするための方法を探る。

授業内容例

「私の好き」発表会: 好きな物、好きなこと、好きな場所など、自分が夢中になれるものについて、絵や写真、言葉を使って発表する機会を設けます。

アイデアマップ: 発表された「好き」の中から、自分が共感したり、面白いと感じたりしたものをピックアップし、関連する言葉を書き出したり、絵を描いたりしながら、アイデアを膨らませます。

表現方法の検討: 選んだテーマをどのように表現したら効果的か、グループで話し合い、具体的な方法を探ります。

指導上のポイント

子どもたちの「好き」を尊重し、否定的な意見は言わないようにする。

アイデアを深掘りするための質問を投げかけ、子どもたちの思考を促す。

他の人の意見を参考にしたり、協力しながら活動できるよう、グループワークを取り入れる。


作品制作・発表期(9月~12月)

ねらい

アイデアを形にするための技術や知識を身につける。

協力して作品を完成させる。

作品を通して自分自身や自分の「好き」を表現する。

授業内容例

素材・技法の習得: 作品制作に必要な素材や道具の使い方を学び、基本的な技術を習得します。

試作品作り: 実際に手を動かしながら、イメージを形にしていく過程を体験します。

作品発表会: 完成した作品を展示したり、発表したりする場を設け、子どもたちの達成感を高めるとともに、鑑賞を通して互いの感性を刺激し合います。

指導上のポイント

プロセスを重視し、完成度よりも、子どもたちの創意工夫や努力を評価する。

困っている子どもには、具体的なアドバイスやサポートを行う。

作品発表会を成功させるために、子どもたちと協力して準備を進める。


ふり返り・評価期(1月~2月)

ねらい

一年間の活動を振り返り、自身の成長を実感する。

創造的な活動を通して得られた学びを、今後の生活に活かしていく態度を育む。

授業内容例

振り返りシート: 印象に残った活動や、作品制作を通して苦労したこと、発見したことなどを振り返ります。

グループディスカッション: 一年間の活動を通して、自分たちがどのように成長できたかを話し合います。

将来への展望: 今回のプロジェクトを通して得られた経験を、今後どのように活かしていきたいかを考えます。

指導上のポイント

子どもたちが、自分の言葉で率直な感想や意見を言える雰囲気を作る。

一年間の活動を通して、子どもたちがどのように成長したかを具体的に伝え、自己肯定感を高める。

創造的な活動の楽しさや、新しいことに挑戦することの大切さを再確認する。


評価について

作品の完成度や技術レベルではなく、「創造的な思考力」「表現力」「コミュニケーション能力」「主体性」など、多様な評価軸を設定します。

子どもたちの作品や発表を通して、これらの能力がどのように育まれたかを評価し、個別にフィードバックを行います。

自己評価や相互評価も積極的に取り入れ、子どもたちの「自ら学びを振り返る力」を育てます。


授業内容例はあくまでも一例です。 重要なのは、子どもたちの「想像力」と「創造力」を育むという目的を踏まえ、柔軟にカリキュラムを組み立てていくことと考えています。

また、年間を通して、地域に根ざした活動や、外部講師を招いたワークショップなども積極的に取り入れていくことで、子どもたちの学習意欲を高め、より豊かな学びの機会を提供していくことが重要としています。